ひな人形の最近のブログ記事

変わり雛


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変わり雛という人形があります。これはいわゆるひな祭りに飾られる定番のひな人形とは違うものの、ひな人形として取り扱われるもの全てを指します。例えばパッチワークで作ったひな人形や、彫刻で作ったものなど、形にとらわれない独創的なひな人形がたくさんあります。
変わり雛というのはこのような意味があるのですが、ここでお話したいのはこの変わり雛ではありません。毎年ひな祭りの時期になると世相を反映したひな人形が作られ、毎年それが話題となります。これはなかなか世相をよく観察していて面白いなぁと思わされることが多いので、ここでは世相を反映した変わり雛についてお話しましょう。
要するこの1年間で話題になった人は事件、事柄などをひな人形にアレンジしたのがこの変わり雛です。埼玉にある老舗の人形メーカー、「東玉」が製作して発表しています。
例えばこれを書いた2008年から見れば去年にあたる2007年の変わり雛はどんなものでしょうか。まずは「国会ねじれ雛」。参議院選挙で民主党が勝利し、過半数を確保したために衆議院で過半数を握っている自民党との間でねじれが生じていることが大いに話題になったことを反映しているひな人形です。次に「浦和レッズアジアリーグ優勝雛」というものもあります。これはこの変わり雛を製作している東玉が埼玉の企業であることから地元チームである浦和レッズの勝利を祝ってのものでしょう。ちなみに、2003年に阪神タイガースが18年ぶりに優勝した時には阪神タイガース優勝雛というものがもちろんありました。あれだけ話題になって社会現象になったのですから、当然といえば当然ですね。
他には「どんだけ~雛」、「そのまんま知事雛」、「メタボなんて関係ねぇ雛」「永遠とともに智則・紀香雛」などが製作されました。それぞれのひな人形が何を示しているかはお分かりになりますよね。
過去にさかのぼると、変わり雛を見ているだけでその年の世相が何となく見えてきます。2007年から1年前、2006年の変わり雛を見てみましょう。
2006年の変わり雛、第1位は「悠仁さま ご誕生雛」。言うまでもなく天皇家のお祝い事を変わり雛にしたものです。「美しい国へ 安部総理たびたち雛」なんていう変わり雛もあります。突然政権を投げ出して次期首相に福田氏が就任した今となっては、こんな時期もあったんだなぁと思わされる変わり雛です。スポーツ界の話題をひな人形にした「ハンカチ王子雛」「イナバウアー雛」...もう2年前のことなんですね、早いものです。
どれもつい最近話題になったようなことがひな人形になっているのですが、もう前の年の変わり雛になってしまうんですね。

ひな人形


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ひな祭りに必ず付き物なのがひな人形。どんなに簡素なひな祭りをするという家庭でも簡素なひな人形だけは置いているというところがほとんどです。さてこのひな人形ですが、由来については別の項ですでにお話しましたが、今度はその中身についてお話したいと思います。
まずはひな人形の最も基本的な男女ペア、これは一体誰なのでしょうか。最もシンプルなひな人形でもこのペアは必ず存在します。もっと多くの人形で構成されている雛飾りでもてっぺんに鎮座しているのがこのペアです。一番高いところに座っているので、一番身分の高い人に見えますが...。その通り、このペアは親王と言って天皇と皇后を示しています。天皇・皇后が一番上に居るということは、その下に居る人たちはその家来たちです。
三人官女は宮中に仕える女官を示しており、随身の人形は右大臣と左大臣を示しています。歌にも登場する五人囃子というのはお囃子を奏でて宮中を華やかに盛り上げるための楽団で、それぞれが太鼓・大皮・小太鼓・笛・謡の楽人です。さらに豪華なひな人形になると仕丁の人形もあります。これは従者を示しており、3人で1組になっています。
ひな人形の飾り方について、これにはちゃんと理由があるのをご存知でしょうか。ひな人形は宮中の並び方をそのまま再現しているので、宮中の上位位置である左が最も身分の高い人が座ることになっています。以下の家来たちも同様で、天皇から見て左、つまり人形を見る人から見ると向かって右に座っている人が同じ高さであってもランクの高い人ということになります。
これをお読みになって、よく見かけるひな人形の配列を思い浮かべてください。天皇・皇后のうち身分の高いのは男性である天皇ということになりますから、男雛は向かって天皇から見た左側、つまり向かって右側に置かれることになります。あれ?いつも見るひな人形は男雛が向かって左にあるような気がするけど?と思った方は居られましたか?これは非常に鋭い指摘です。確かに私たちが普段目にするひな人形は男雛が向かって左に鎮座しています。これはナゼでしょう?
明治時代の文明開化によって西洋の文化が日本に入り込んだ際、逆に右側が高いランクである西洋の文化も流入します。大正天皇が即位儀式の際に西洋式に右側に立ったことにより、以後の天皇は右側に立つようになりました。これの文化がひな人形にも表れ、現在では向かって左側に男雛が座っているのです。ですがこれはあくまでも西洋式だとして、伝統を重んじる京都では今でも向かって右に男雛を置く風習が残っています。

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